ヒリヒリと
1年とか2年前は、「幸せになりたい」と鮮烈に願っていた気がする。
こんな夜に思い至るのは、最近は「幸せになりたい」と思うことすらなくなったな、ということ。
あまり幸の薄そうなことは言いたくないけど。
思うのはただ、遠くへ行きたいということ。
台湾あたりに連れてってよ。
拐うように、誰か。
わかっているのです。
そんな「誰か」はいないということは。
「誰か」も「いつか」も訪れず、あるのはこの夜だけだということも。
私は、この身体と、この心だけで、どんな夜も越えていかなければならないということも。
浅ましい予防線は張りたくない。
たったひとつの身を晒して、傷つきながら、生きていきたい。
他人に消費されずに生きていくことはできない。
悪魔のような人は案外どこにでもいる。
不当に傷つけられることもあるし、自分をまったく大切にできない日もある。
それでも、「身を削らない人は面白くないし、傷ついてない人は可愛くない」が私のモットーです。
ボロボロの夜に私を救うのは、「ちゃんと傷ついている人は可愛い」という私自身の思想です。
傷にだって価値はある。
ただ、丁寧に生きたい。